ツシマヤマネコの親子 長崎 対馬
ツシマヤマネコ(Prionailurus bengalensis euptilurus)は、ベンガルヤマネコの極東亜種で、長崎県対馬にのみ自然分布する希少な野生猫科動物です。体長50-80cm、体重3-5kg、寿命8-10年で、耳裏に白色の斑点が特徴。イリオモテヤマネコと並び、日本に自然分布する唯一の野生ネコ類です。学名はElliotが1871年に命名し、別名アムールヤマネコ。分布は元々モンゴル北部から東シベリア、朝鮮半島までですが、日本では対馬限定で、10万年前に陸橋経由で渡来したと推定されます。江戸時代(1735年)の記録が最古で、地元では「とらやま」や「田ネコ」と呼ばれ、水田近くで小動物を捕食していました。
分類上、環境省の2007年レッドリストで絶滅危惧IA類(CR)と評価され、1971年に天然記念物、1994年に国内希少野生動植物種に指定。生息数は1970年代の約300頭から、2010-2012年の調査で70-100頭に激減。原因は毛皮狩猟(1949年まで)、森林伐採による針葉樹植林、耕作放棄地増加で餌のネズミ・野鳥が減少し、競合のツシマテンや野猫の増加、FIV感染(1996年初確認)、農薬・罠、交通事故が脅威。対馬南部では1984年以来確認が途絶えていましたが、2007年に23年ぶり生息、2023年には負傷個体保護、2021-2023年で生息地域が14地域に拡大する兆しもあります。標識も設置され、10月8日を「ツシマヤマネコの日」と定め、文化的に親しまれています。
保護活動は1994年の種保存法指定を機に本格化。1997年に対馬野生生物保護センター開設で調査・救護、FIV個体の公開も。人工繁殖は2000年に福岡市動植物園で初成功、2021年によこはま動物園ズーラシアで国内初の人工授精成功。分散飼育で井の頭自然文化園など10施設が参加、2014年に5年ぶり繁殖。2013年に野生順化ステーション開設、2024年4月に初放獣(「ひかり」オス)実施も、1か月後に死亡。歴史的に1949年狩猟禁止、1985-2012年の4次調査、1993年の守る会結成、2010年のネコ飼養条例施行など進展。違法飼育例(2013年15年飼育)もあり、啓発が課題。全体で生息地保全と繁殖強化が急務です。
(出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%84%E3%82%B7%E3%83%9E%E3%83%A4%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%82%B3)